速すぎることもなく、遅すぎるわけではなくて。体にリズムが満ち満ちているように感じるとき。
はじめから、圧倒されているわけじゃないけれど、ある瞬間からふと「それ」に飲み込まれていることに気がついたとき。
じんわりとメロディーが染み込んできて、自然と体が動き出してしまう、その時。
まるで、静かな映画のエンドロールみたく。
まるで、きれいな文庫本の最後の3ページみたく。
まるで、あの娘がうつむいて少し笑うときみたく。
僕の感情を流れている血液が、ゆっくりとしたビートを湛えながら、体中に「メロウ」をゆきわたらせるのです。
そして。
上がりすぎることなく、下がりすぎることなく、その緩やかな波形はどんどん曖昧になって、やがて僕は眠ります。
おやすみなさい。
(2006/4/20)